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ウェアの製造過程で起こる
品質事故とそのメカニズム
-染色編-

2019.05.17(最終更新:2020.02.27)
Edited by キャブ株式会社

Tシャツなどのウェアを製造している過程では、さまざまな品質事故が起こる可能性があります。
品質事故が発生すると、いわゆる「不良品」「B品」といったものができあがってしまい、商品として販売することができません。もちろん、私たちキャブ株式会社でも品質事故が起こらないよう細心の注意を払い、厳しく品質管理を行っています。
それら品質事故の原因や当社が行っている対策を、Tシャツの製造工程ごとに4回に分けてご紹介します。

Tシャツの生地に色をつける染色工程で生じうる品質事故について解説していきます。
(染色工程に関する詳細は「Tシャツの色合いやデザインを左右する染色工程とは?」をご覧ください)

原料(綿花)編」でも色ブレに関するメカニズムを解説しました。
原料に起因する色ブレ・色ムラと染色工程に起因する色ブレ・色ムラがあります。

そもそも色ブレとは「染色のロット差による色差」を指すのに対して、色ムラとは「同一染色ロット内での色差」を指します。
色ブレ・色ムラが起こる原因としては、染色工程中に染色釜の中で生地が回らなくなってしまうことや、精錬・漂白が十分に行われなかったこと(染色のスタート時から下地の色が揃っていない)などが挙げられます。

また、染料や助剤(じょざい)が正確に計量されなかったり、染料が生地に固着するスピードが異なる染料を組み合わせていたりすることも色ブレ・色ムラを発生させる原因に当たります。
また、気候の問題で染色中の温度管理が同条件にできなかったことなども挙げられます。

上記のようなことから、すべての製品を同じ色で揃えて生産し続けるには多大な労力が必要になってくるわけです。

生地目に対して平行でない、あるいは直線的でないスジが入っている症状は染色皺・乾燥皺と判断できます。
染色工程中に染色釜の中で生地が回らなくなり、設備内で擦られてしまったり、生地に皺が付く状態(硬く捻られたりあるいは棒状だったり)でタンブル乾燥機の中で回ったりすると皺になってしまうことがあります。

ポリエステル素材を染色するときには、その仕上げとして「ヒートセット」という処理を行います。
「ヒートセット」とは、合成繊維など熱可塑性(ねつかそせい:熱をかけると軟化して形成しやすくなり、冷やすと硬くなる性質)繊維を熱処理して形態や寸法を安定させるための仕上げ工程のことです。

このヒートセットが十分でないと、熱処理を必要とするプリント加工をした際に、縮みが発生してしまうことがあります。
また、プリント加工の際の熱処理が高温の過酷な条件などの場合にも生地が縮んでしまうことがあります。

色泣きとは白生地や淡い色の部分に濃い色の部分の染料が移ることを指しますが、この品質事故が発生する背景には、染色工程のうちソーピング工程が不足し、生地表面に染料が残っていた可能性があります。
(「ソーピング」については「Tシャツの色合いやデザインを左右する染色工程とは?」)

4回に分けて、ウェアの製造工程ごとに起こりうる品質事故の原因とそのメカニズムについて解説をしてきました。 これらのことからお分かりになる通り、ウェアの製造において品質事故はゼロにはなりません。

しかし、私たちは品質の徹底管理をすることで限りなくゼロに近づける努力をしています。
生産工場の清掃やメンテナンスといった日々の心がけから、綿のブレンドの配合率にいたるまで、あらゆる側面から品質安定・品質向上に努めています。

製品の品質事故を少しでも軽減し、さらにお客様に満足していただけるウェアを提供できるよう、引き続き努力をしていきます。

Edited by キャブ株式会社

1930年創業。United Athle(ユナイテッドアスレ)を企画・製造するアパレルメーカー。
創業以来モノづくりに従事し培ってきた知識と経験で、全国1万社以上のお客様のビジネスの
お役立てをしています。 → 企業情報を見る

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