綿(コットン)素材の特徴
-繊維の性質やメリット・デメリット、
United Athleの綿製品をご紹介-
綿(コットン)といえば、私たちの衣類の中で最も身近な素材と言っても過言ではありません。
世界の繊維生産量の約26%を占めている繊維でもある(2017年度)綿は、Tシャツ・スウェット・小物(バッグや帽子)など、利用されるアイテム例を挙げれば枚挙にいとまがありません。
そんな身近な素材である綿について、あらためて特徴やメリットなどをご紹介します。
1、綿とは?
今では当たり前のように使われている「綿(コットン)」とは、一般的にアオイ科ワタ属の植物から取れる「ワタ」からできる木綿(もめん)を指します。
「ワタ」の木の実を守る役割を持つ、白いフワフワとした「種子毛(しゅしもう)」が綿(コットン)になります。
この「種子毛」が白い花のように見えることから「綿花(めんか)」と呼ばれるようになりました(「コットンボール」とも呼ばれます)。
「ワタ」の木の実が膨らみ、はじけることで中からフカフカの綿毛が出現(「綿花」と呼ばれる状態)し、それらを繊維と種に分けます。
綿の繊維はそのままではふわふわとしており体積が大きく輸送が困難なため、圧縮梱包し、塊にして堅くまとめます(「原綿(げんめん)」)。
原綿は紡績用の材料として利用され、「①混打綿(こんだめん)工程 → ②梳綿(そめん)工程 → ③練条工程 → ④粗紡・紡績工程」を経て、最終的には一本の糸を紡ぎます。(紡績に関する詳細は「Tシャツの製造工程」:1、綿花から糸を製造する」)
2、生産地ごとの綿花への影響や特徴
綿花の生産地はさまざまで、中国・インド・アメリカ・パキスタンなどが挙げられます。
「世界の綿花(実綿)生産量 国別ランキング」では、生産量第一位がインド、続いて中国、アメリカ、パキスタンとなっています(2017年度)。
綿作地によって綿そのものにそれぞれ個性があり、気候・水・風土・農家の技術などによって独特の風合いになります。
例えば中国で生産される綿は、「手摘み」という人が綿花を収穫する人海戦術を採用しているところが多く、麻袋に詰めて出荷されるため、夾雑物(きょうざつぶつ)が多くなりやすいということが挙げられます。
また、アメリカで生産される綿花の特徴は、中国綿などと比べて油分が少なく、独特のシャリ感(乾いた肌ざわりで硬めの質感)があります。これらは「米綿(べいめん)」「U.S.コットン」などと呼ばれます。
綿の種類として有名なのは、世界の三大高級綿と呼ばれる「ギザ綿(エジプトで採取される綿で繊維長が長く細い希少な綿)」「スーピマ綿(アメリカ南西部で作り出される繊維長の長い綿)」「新疆長繊維綿(しんきょうちょうせんいめん:中国で生産される雨の少ない環境で山脈の雪解け水を利用して栽培される綿)」です。
綿花の品質は直接製品の品質につながるため、生産者は特に慎重に綿花を選びます。
(綿花に関する詳細は「Tシャツづくりは原料から」)
3、綿繊維の特徴
① 吸水性・吸湿性に優れている
吸水性・吸湿性の秘密は綿の構造にあります。
天然繊維である綿の断面は、数珠状の丸がたくさん並んだ形をしています。この丸の中心が空洞になっており、化学繊維に比べて水分をたっぷり含むことができるようになっています。
汗などの水分をしっかり吸収してくれるので、肌着・下着などに最適です。
半面、水分を吸収することで膨張してしまい、糸自体が太くなってしまいます。そのことにより引っ張られた糸が短くなってしまい衣類の縮みにつながります。
また、吸水性に優れているというメリットの反面、乾きにくいという特徴も挙げられます。
② 肌ざわりが良くなめらかな風合い
繊維の先端が丸くなっているため、化学繊維などと比べて肌ざわりが良く、なめらかな風合いを楽しむことができます。
ザラザラ・チクチクといった肌ざわりがほとんどなく、敏感肌や肌の弱い方、アトピーの方、小さなお子様や赤ちゃんなどにおすすめです。
③ 染色がしやすく、発色が良い
染色性に優れているため、さまざまな染め方ができます。
糸の状態で染める「先染め」、布の状態で染める「後染め」、製品化したのちに行う「製品染め」などが可能です。
ポリエステルなどの化学繊維において染色は、非常に高温な環境でないと行うことができません。
一般的にポリエステル繊維の染色には、130度以上に温度を上げる必要があります。
一方で綿は、(染料や染色の方法によってさまざまですが)50~70度程度の温度でも染色することが可能です。
また、発色性にも優れているため、さまざまなデザインが施しやすいという特長もあります。
しかし、お手入れの仕方などによっては色落ちしやすくなってしまいますので注意が必要です。直射日光や紫外線に当て続けてしまうと変色・退色の原因となります。
④ 冬は暖かく、夏は涼しい
綿の繊維は、中心部分がマカロニのように空洞になっているため、熱伝導性が低く、衣類にたまった熱が放出されにくくなっています。
そのため冬は体温を外に逃がさず、温かさを保ってくれます。
日中、天日干しをした綿布団が温かさをキープしてくれるのはこういった原理があるからなのです。
逆に夏場は、汗を吸収して放出しようとするときに気化熱が発生し、温度を下げるという性質を発揮します。
吸収した水分は外に発散されるので、通気性がアップします。
4、オーガニックコットンとは
皆さんも「オーガニックコットン」という言葉をときには耳にすることがあるかもしれません。
オーガニックコットンとは、GOTS(オーガニック・テキスタイル世界基準)によって制定される、「オーガニック農産物等の生産方法についての基準」に従って、2~3年以上のオーガニック農産物等の生産実績を経て認証機関に認められた農地において、栽培に使われる農薬・肥料の厳格な基準を守って育てられた綿花を指します。
化学薬品を使用していない土壌で育てなければならないという制約があるうえ、化学肥料の代わりに家畜の糞尿、害虫駆除のための農薬を化学薬品の入っていない物を使用するなど、あらゆる手間と神経を注いで育てられます。
また、日本では、中小企業基盤整備機構から「オーガニックコットンに係る表示ガイドライン」が発表されており、製品にオーガニックコットンの表示をする事業者にはさまざまな義務が課せられます。
同ガイドラインにおいて、「オーガニックコットン製品」を定義する要件として「農業段階で国際的な基準に基づき有機性が認証されていること」が規定されており、また、製品への表記においては、
家庭用品品質表示法の組成表示を遵守し、オーガニックコットンという名称を表示する場合は、「製品全体に占めるオーガニックコットンの混用率」、又は製品の部位を分離して表示した場合は「当該部位に占めるオーガニックコットンの混用率」を表示する。
と定められています。
世界中の綿の生産量のわずか1%未満というとても希少で高価なものです。
5、綿素材を使用したUnited Athle製品
①品番:5001-01・02・03
「5.6オンス ハイクオリティー Tシャツ」
United Athleといえばこの品番、という方も少なくない代表格。
Tシャツに重要な「よれない」「透けない」「長持ちする」という三大要素を兼ね備えています。
また、不純物の除去や綿花の選定などにこだわることで、毛羽立ちが少なくなるように工夫した糸を使用。肌ざわりが良く、プリントののりも良い理想の生地を追求しています。
United Athle 5001-01 商品ページ
United Athle 5001-02 商品ページ
United Athle 5001-03 商品ページ
②品番:5001-07
「5.6オンス P.F.D. ハイクオリティー Tシャツ」
前述の5001シリーズを「後染め」可能にしたモデル。
綿繊維の特徴である「染色のしやすさ」を落とし込んだ製品です。
本来は首回りや裾といったステッチ部分をポリエステル糸で縫製するところ、綿糸で縫製。
そうすることで、綿用の染料で同時に染色ができます(ポリエステル糸だと染まらない場合がほとんど)。
また、染色時に高い温度へさらされることによる縮みを考慮して、通常のモデルよりサイズスペックを一回り大きく企画しています。
United Athle 5001-07 商品ページ
③品番:5213-01
「10.0オンス スウェット フルジップ パーカ」
綿が使用されるのはTシャツだけではありません。
裏毛(裏パイル)スウェットなどにも活用され、綿本来の保温力が厚手生地と裏地のループによって向上し、夏場は冷房下のはおりとして、冬場は屋外でのインナーとして活躍します。
United Athle 5213-01 商品ページ
いかがでしたか?普段はあまり意識しなくても、気づくと綿素材の衣類を選んでいたりするものです。
一年を通して活躍する綿。
今では当たり前になりすぎて意識しないことも多いかもしれませんが、特徴を最大限に活かして、ぜひお気に入りを見つけてみてください。
Edited by キャブ株式会社
1930年創業。United Athle(ユナイテッドアスレ)を企画・製造するアパレルメーカー。
創業以来モノづくりに従事し培ってきた知識と経験で、全国1万社以上のお客様のビジネスの
お役立てをしています。
→ 企業情報を見る